唯一のルールは「仲良くすること」 ――元教員が挑む教育事業の革新
不登校の子どもたちに寄り添い続ける豊田氏が明かす、フリースクール成功の秘密。
それは唯一のルール「仲良くすること」に込められた、想像を超える経営哲学だった。
自由な学び場としてのフリースクールの魅力
榎本氏: フリースクールの事業内容について教えてください。
豊田氏: フリースクールは不登校の子どもが朝から夕方まで過ごせる場所です。学校と違い文部科学省の規則に縛られず、民間で運営しています。学習塾とは異なり、勉強だけでなく生活面や社会性も育てることを重視しています。学校に通えない子どもたちが、本来学校で得られる経験や人との関わりを取り戻せる場であることが特徴です。開校時間は朝10時半から15時半の5時間。週1回の利用から毎日通う子まで幅広く、1日の利用者は30〜40人、在籍は80人以上にのぼります。複数の教室を使い分けながら運営しています。
榎本氏: 学校と異なり、自由度が高いのですね。
豊田氏: はい、学校は集団行動ですが、フリースクールは来る時間も学習内容も自由。スタッフは生徒数人に1人ずつついて個別対応し、午後は遊びも取り入れています。仲良くすることが唯一のルールで、個々のペースを大切にしています。
不登校支援への情熱と始まり

榎本氏: 事業を始めたきっかけは何ですか?
豊田氏: もともとは高校教員として、不登校の子どもたちの受け皿となる学校に勤めていました。ただ、18歳で社会に出るには厳しい現実を感じ、もっと早い段階から関わる必要があると考えたんです。全国に30万人以上いる現状にも危機感を抱き、教員の立場を超えて2019年に東京でフリースクールを立ち上げました。
挑戦の年と諦めない力
榎本氏: 最初の年はどのような状況でしたか?
豊田氏: 1年目は生徒4人だけで、テナント代の支払いもギリギリ。アルバイトしながら経営し、何度も諦めそうになりましたが責任感で踏みとどまりました。コロナ禍の厳しい状況も乗り越え、生徒は徐々に増えていきました。
榎本氏: その諦めない精神が生徒を呼び寄せたのですね。
豊田氏: 口コミで兄弟や友人へと広がり、ご縁が広がりました。最初は教え子だった大学生がスタッフとして関わってくれるようになり、今では大きな支えになっています。彼ら自身も不登校を経験しているため、子どもたちに自然と寄り添うことができています。
榎本氏: 子どもたちへの接し方で大切にしていることは?
豊田氏: 子どもとしてではなく、一人の人間として真剣に接しています。彼らの考えを尊重し、しっかりと話を聞く。その積み重ねが信頼関係を生み、「仲良くすること」というルールにつながっています。
個別の学びとスタッフ体制

榎本氏: 学習面ではどんな工夫をされていますか?
豊田氏: 学校の進度にはあえて合わせず、それぞれの子どもの得意なことを伸ばす方針です。検定を活用し、好きな科目から始めて段階的に挑戦してもらいます。嫌いな科目は無理にやらせません。これにより子どもたちが自発的に学習を楽しめる環境を作っています。
榎本氏: スタッフの人数と生徒数のバランスは?
豊田氏: 朝の時間帯は20〜25人の子どもに対してスタッフが5人ほど。普段は1人あたり3〜4人、最大でも5人まで担当し、細かく状況を把握しています。スタッフも日々学びながら、幅広い教科に対応できるよう成長しています。
榎本氏: 子どもたちへの接し方の指導は?
豊田氏: 特別な指導はしていません。不登校経験のある教え子たちがスタッフに多く、彼らが自然に配慮してくれています。大事なのは対等な人間関係を築くことです。
全国展開への展望と信頼

榎本氏: 今後は教室は増やしていく予定ですか?
豊田氏: はい。東京は全国展開に向けたモデルケースです。地方からでは難しい部分もあるため、まずは東京で成功事例を確立し、それを各地に広げていきたいと考えています。
榎本氏: 全国展開での経営面で重視していることは?
豊田氏: まずは今のスタッフが各地の中心になること。彼らの希望も尊重し、理念を共有できる人に任せる形が理想です。信頼関係を重視して運営していきます。放課後等デイサービスもオープンし、経営基盤を固めた上で志の合う仲間を全国に探しに行きます。
榎本氏: スタッフとの信頼関係が成功の鍵ですね。
豊田氏: 15歳の時から関わってきた教え子たちが中心となって支え、スタッフも増えています。今は自分が直接教えなくても回る状態で、楽しく充実しています。
未来へのビジョンと支援の拡充

榎本氏: 今後のビジョンは?
豊田氏: 東京都ではフリースクールに通う家庭に対して月2万円の助成金があります。これが全国に広がれば、より多くの家庭が利用しやすくなるはずです。助成金制度とフリースクールの全国展開をセットで進めるべきだと考えています。
榎本氏: 子どもたちはどのように学習意欲を持つのですか?
豊田氏: 最初から勉強に前向きな子はほとんどいません。ただ周りの子が頑張る姿を見ると自然とやる気になります。大人が「やれ」と言っても効果はなく、仲間の影響が大きいです。
榎本氏: 最後に伝えたいことをお願いします。
豊田氏: 一人の人間として向き合うこと。これが何より大切であり、子どもたちが安心して成長できる環境を作る秘訣です。
豊田氏が語るフリースクール成功の鍵は、唯一のルール「仲良くすること」。
子ども一人ひとりを対等に受け止め、自由な学びと居場所を提供。
諦めず信頼関係を築き、全国展開と支援拡充を目指す熱い想いが印象的だ。
Pick up:
信頼関係重視の自由な学びの場とは?
豊田氏が運営するフリースクールでは、スタッフと生徒の信頼関係を何よりも重視しています。
一人の人間として真剣に向き合い、触れられたくない感情や課題には無理に踏み込まない配慮を徹底。
これにより、生徒たちは安心して自分のペースで過ごせる環境が整っています。
また、一斉授業はなく、個別に学習を進めるスタイルを採用。
午後には遊びの時間を設け、自然な形で仲間同士の交流を促進しています。
こうした取り組みが、子どもたちの社会性や自立心の育成に大きく貢献しているのです。

プロフィール

氏名:豊田 毅(とよた たけし)
役職:代表取締役
略歴
豊田氏は元私立高校教員で、不登校支援のフリースクールを2019年東京で開設。個々に寄り添う教育を展開。
法人概要
法人名:株式会社自由教育
所在地: 東京都北区浮間1-1-6 KMP北赤羽駅前ビル3F
WEBサイト:https://takinogawa.club/
