日本の子育て価値を守り抜く梅乃園幼稚園の地域連携と理念
働く母親が増える今、子ども園はどんな挑戦をしているのか?教育とは何なのか?伝統ある園長が明かす、未来を拓く教育哲学の真髄とは――。
こども園への移行と働く母親への対応
榎本氏: 幼稚園からこども園へ移行された背景を教えてください。
杉本氏: 昔は、幼稚園は誰でも入れますが、保育園は働くお母さんだけという役割の違いがありました。今は共働きが増え、幼稚園だけではニーズに応えきれません。そこで両方の良さを持つこども園に移行しました。限られた時間でも質の高い関わりで、子どもたちをしっかり支えることが大切だと考えています。
榎本氏: 短時間で質を高める教育は難しそうです。
杉本氏: 量ではなく、どう触れ合うか、どんな質の関わりを持てるかが重要です。幼児期に培われる愛情や教育は将来に大きく影響しますから。
教育への目覚めと幼稚園教諭としての歩み

榎本氏: 幼児教育に関わるきっかけを教えてください。
杉本氏: 幼い頃から、祖母が営むこの園で育ちました。高校生の時、教育の本当の意味を考え、小学校教員を志したこともあります。ですが、園児と関わる中で、感情を真っ直ぐに表現する純粋さに触れ、この仕事こそが私の道だと確信しました。
榎本氏: 幼稚園の先生になってからの経歴は?
杉本氏: クラス担任として約10年、子どもと向き合う日々を大切にしていましたが、理事長の強い勧めで園長に就任しました。当初は現場を離れる戸惑いもありましたが、「先生が輝けば、園の子ども全員が輝く」と視点を変え、使命を見出しました。経営と教育の両面で大きな責任を感じる今、雇用や資金確保も考慮が必要で、担任時代とは全く違う視点が求められています。
榎本氏: 園長としての使命を見出されたのですね。
杉本氏: 安定した経営が良い教育の継続に必要です。両輪でのバランスが大切です。
独自の知能教育とその効果

榎本氏: 御園の教育理念や特徴について教えてください。
杉本氏: 子どもたちの将来の幸せを大切にし、人生の基盤となる幼児期の知能教育に注力しています。「知能の器」である認知力・記憶力・思考力を大きくするため、積み木での思考力トレーニングや評価力を養う活動を導入しています。
榎本氏: 保護者の反応はいかがですか?
杉本氏: 高学歴の卒園生も多く、成長を実感した保護者から嬉しい声が届きます。積み木教育がきっかけでエンジニアや弁護士になった例もあり、教育の成果を感じています。
こども園としての運営と教育の一体化
榎本氏: こども園になって変わったことはありますか?
杉本氏: 今年からこども園になりましたが、教育時間は10時から14時のままです。1号認定(幼稚園部門)の子どもはその時間に教育を受け、2号認定(保育園部門)の子どもはその後に迎えに来ます。教育内容は同じで、みんな一緒に過ごしています。
榎本氏: 保育園と幼稚園の違いが融合した形ですね。
杉本氏: 保育園は行政委託の制約で教育レベルの維持が難しい課題があります。一方、幼稚園と保育園の機能を併せ持つこども園は、独自の教育方針を貫き、質を守る貴重な存在です。ただ、国全体で制度や認識のギャップは大きく、増える働く家庭を支え、教育の質を保つ体制づくりが求められます。
地域との連携と職員育成の重要性

榎本氏: 地域とのつながりについてお聞かせください。
杉本氏: この地域は医療関係者や弁護士など教育熱心な家庭も多く、その期待に応えたいです。母親講座では、子どもとのコミュニケーションや自我形成を学ぶワークで、保護者の共感力や育児力向上につなげています。
榎本氏: 職員研修にも力を入れているそうですね。
杉本氏: 外部委託せず、私自身がコミュニケーションワークで教育理念を浸透させています。チームビルドや情報共有が活発化し、より良い保育環境につながっています。
榎本氏: 保育士の確保状況はいかがですか?
杉本氏: 非常に厳しいです。以前は採用試験に何十人も集まりましたが、今はゼロのことも。千葉県でも園の閉鎖が相次いでおり、子どもの減少と人材不足が深刻です。
未来への展望と教育への熱い思い

榎本氏: 今後に対する思いをお聞かせください。
杉本氏: 10年後20年後は教育への考え方が二極化すると感じています。熱心に教育を望む家庭と、伸び伸び自由に育てたい家庭に分かれるでしょう。私たちは確固たる教育理念を持ち続け、子どもたちの成長を引き上げることに力を注ぎます。
榎本氏: 教育の本質についてもお考えがあるとか。
杉本氏: 教育はただ預かるだけでなく、学びや変化を促す場でなければ意味がありません。また、子育てはリスクではなく、人生で最も楽しい体験の一つと伝えたいです。そのためには男性も女性も支え合う社会体制が必要です。
榎本氏: 教育に携わる中で大切にしていることは?
杉本氏: 子どもたちの成長と変化を何より重視しています。安全や楽しさも大事ですが、学びが伴わなければ教育ではないと思います。子育ての楽しさを保護者に伝え、社会全体で支え合う仕組み作りにも挑戦していきたいです。
働く母を支える子ども園として、梅乃園幼稚園は教育と保育の両立を目指し、IQ向上を軸にした独自の知能教育を展開。地域連携や職員研修にも注力し、子ども一人ひとりの成長を見守りながら未来を拓く教育哲学を貫いている。
Pick up:
子ども園の存続を左右する経営戦略とは?
幼稚園やこども園の運営には、教育だけでなく経営面の責任も大きい。園長である杉本氏は、従業員の雇用確保や施設の将来の維持資金の準備など、多岐にわたる課題に直面している。特に近年は保育士の人材不足が深刻で、採用試験に応募者が集まらず、園の閉鎖も相次ぐ状況だ。この厳しい環境下で、園の存続と質の高い教育提供を両立させるため、情報発信や地域との連携強化が不可欠だと杉本氏は強調する。教育と経営の両輪をしっかり回し続けることが、未来の子どもたちの成長を支える鍵となっている。

プロフィール

氏名:杉本 卓美(すぎもと たかよし)
役職:理事長・園長
略歴
杉本氏は祖母が設立した幼稚園で育ち、幼稚園教諭を経て園長に就任。現代の多様な子育て環境に対応する教育理念を掲げ、知能教育を推進している。
法人概要
法人名:学校法人梅園学園 認定こども園 梅乃園幼稚園
所在地:千葉県千葉市中央区矢作町939-6
WEBサイト:https://umezono.net/
