70年の歴史を礎に顧客との対話から生まれる製品開発
藤田金属の歴史と鉄フライパン復活の軌跡

榎本氏: 御社の事業内容と歴史について教えてください。
藤田氏: 弊社は1951年に祖父が創業し、主に家庭用の金属製品を製造販売しています。鉄のフライパンやアルミタンブラーなどが代表的です。四代目の私が現在代表を務め、創業から70年以上続いています。
榎本氏: 鉄フライパンは昔からの製品ですか?
藤田氏: 元々は50年前に鉄フライパンを作っていましたが、当時はコーティングフライパンの普及で需要が減り、一度廃番にしました。しかし2010年にお客様からの要望で再び復活させました。今では家庭用に使いやすく、育てるフライパンとして注目されています。
榎本氏: 復活の背景にはどんな狙いが?
藤田氏: 鉄フライパンは長く使え、サステナブルな商品として注目されていること、そしてヘラ絞り加工で従来より軽く仕上げるなどの技術革新もあり、今は9割が鉄製品です。時代の変化に合わせて事業の幅を広げてきた結果ですね
工場見学と店舗展開で生まれる新たな価値

榎本氏: 工場見学や直営店も始められたそうですね。
藤田氏: はい、2021年に工場の見えるショップをオープンし、2024年には東京・上野にも店舗を構え、お客様が製造現場を見学できることで商品への愛着が増し、職人のモチベーションも上がっています。
榎本氏: 現場の反応はいかがですか?
藤田氏: 最初は驚きましたが、お客様が来ると気持ちが切り替わり、より良いものを作ろうという意識が強くなりました。お客様と職人が繋がることで品質向上にも繋がっています。
榎本氏: 若い人材育成にも効果がありそうですね。
藤田氏: はい、若い職人も多く活気が出ています。コロナ禍から多角化も進め、テーブルランプなど異業種の製品も手掛け、これは技術の応用であり新たな挑戦です。
挑戦し続ける藤田金属の未来戦略

榎本氏: 今後の展望について教えてください。
藤田氏: 正直、10年、20年後の計画はありません。日々の積み重ねと挑戦を大切にし、新たな商品や技術を生み出しています。
榎本氏: 具体的な挑戦例は?
藤田氏: 例えば「フライパン物語」というカスタマイズ商品。お客様一人一人に合ったフライパンを提供し、利益確保と技術向上を目指しています。また、プロ野球のバットをアップサイクルした商品開発なども行い、多様なコラボレーションで新しい価値を創造しています。
榎本氏: ブランド戦略として大切にしていることは?
藤田氏: 誠実さとスピード感です。お客様の声に真摯に応え、質の高い商品を迅速に提供することが、長年の信頼を築く鍵だと考えています。
Pick up:
藤田金属は、従来の製造業の枠を超えたブランド戦略を推進している。代表的なのが、顧客一人ひとりに合わせて製造する「フライパン物語」だ。量産に慣れた現場が、あえて手間のかかるカスタマイズに挑むことで、利益確保と技術向上を両立させた。さらに、デザイン性を高めた「フライパンジュウ」シリーズや、女性の鉄分不足に着目した「フェムテックフライパン」など、時代のニーズを捉えた新商品も次々に誕生している。広告費を抑えながらSNSで自然な拡散を促す仕組みも整え、老舗メーカーの技術力を生かした『企画・発信型ブランド』へと進化を遂げつつある。

プロフィール

氏名:藤田 盛一郎(ふじた せいいちろう)
役職:代表取締役社長
法人概要
法人名:藤田金属株式会社
所在地:大阪府八尾市西弓削3丁目8番地
URL:http://www.fujita-kinzoku.jp/
