伝統と革新を紡ぐ北極アイスキャンデー久保田氏の挑戦
父の戦後の想いを受け継ぐ決意

榎本氏: 久保田さん、ご家族の歴史からお聞かせください。
久保田氏: 父が早く亡くなり、母が長く事業を続けてきました。私が二代目なのか三代目なのかわかりませんが、父は戦後の食糧難を経験し、「女性や子どもたちに美味しいものを届けたい」とアイスキャンデーを始めたそうです。お菓子には人をほっとさせる力があると考えたんですね。その想いを受け継いでいます。
榎本氏: 久保田さんはいつから事業を継がれたのですか?
久保田氏: 2003年に私が継ぎました。母や兄に突然呼ばれて、専業主婦から社長になることを告げられ驚きましたが、皆に愛されてきたこのアイスキャンデーを絶やしたくない思いで引き受けました。姉は家にいて、兄は自由人で、私が最も向いていると母が判断したのだと思います。幼い頃から店を手伝っていたことも大きく、家業への愛着が自然と育まれていたのだと思います。
伝統の味を守りつつ、新たな挑戦を

榎本氏: カフェスペースの新設も話題になりましたね。
久保田氏: 2023年にカフェをオープンしました。コロナ禍で客足が大きく減ったため、新たな試みが必要だと感じました。特にふわふわ食感のかき氷が人気です。創業当初のミルク、小豆、パインの味は今も変わらず、90歳近いお客様にも喜ばれています。伝統の味を守りながらも、新商品やコラボも積極的に展開しています。
榎本氏: コラボが多いのも特徴ですね。
久保田氏: はい。今年は『呪術廻戦』さんとコラボし、東海道新幹線の限定商品も作りました。昔の味を守りつつ、新しいお客様にも興味を持ってもらえるよう努めています。『南極料理人』の映画とのタイアップもあり、地域や時代に合わせた挑戦を続けています。
地域に根ざし未来へつなぐ想い

榎本氏: 経営者として大切にされていることは?
久保田氏: お客様の声を最優先にし、従業員も大切にすることです。味の要望にもできるだけ応え、時には試作もしながら品質を守っています。地域への貢献も意識しており、難波の地で100年以上続く歴史ある商店街の一員として、大阪名物として恥じない商品づくりを心がけています。
榎本氏: お子様や次世代へもつなげたいということですね。
久保田氏: はい。うちのアイスは添加物を極力使わず、安心・安全を何より大切にしています。年配のお客様からお孫さんまで、世代を超えて安心して食べていただけることが大切です。これからも地域の皆様に愛され続けるよう、伝統を守りながら新しい時代にも積極的に挑戦していきます。
Pick up:
久保田氏は幼い頃から店の手伝いをしていたという。店舗の地下でアイスキャンデーが製造される様子を見て育ち、その音や甘い香りは日常の風景として記憶に残っている。母親が仕事に励む様子を見て、自然と「自分もこの仕事を支えたい」という思いが芽生えた。工場の熱気、氷の音、できたてを嬉しそうに頬張るお客さん——そのすべてが彼女にとっての原点だった。こうした幼少期の体験が、のちに事業を受け継ぐ決意へとつながっていく。

プロフィール

氏名:久保田 光恵(くぼた みつえ)
役職:代表取締役
法人概要
法人名:株式会社アークティック
ブランド名:北極のアイスキャンデー
所在地:大阪府大阪市中央区難波3-8-22
URL:https://hokkyoku.jp/

